【ファクトチェック】「今更、提案型になると意気込む立憲民主党」は誤り。2021年1月20日、Dappiが投稿


トップの画像はTwitterより
対象言説

2021年1月20日、Twitter上でアカウント名Dappi(@dappi2019)が、立憲民主党について以下のツイート⑴をした。

今更、提案型になると意気込む立憲民主党の昨年の言動を忘れてはいけない

・コロナ初期(1/27~30)の予算委員会で桜4時間半:コロナ7分
・コロナ集中審議を審議拒否(2/17)
・審議拒否で特措法採決を遅らせる
・菅総理 初の予算委員会で学術会議6時間半:コロナ1時間
・福山哲郎「時間が余ればコロナ」

(Twitterより)
(Twitterより)

今回は、このツイートにも記載されている通り、「今更、提案型になると意気込む立憲民主党」という内容について、ファクトチェックする。

選定理由

Dappi(@dappi2019)は約17.8万フォロワーがいるアカウントで影響力が高い。このツイートも2022年3月10日現在、1969件のリツイート、136引用リツイート、5029いいねを獲得している。さらに、情報が誤っていた場合投票行動に影響を及ぼす可能性がある。従って、今回はこの言説に対してファクトチェックを行う必要があると考えた。

判定
今更、提案型になると意気込む立憲民主党=誤り
判定理由

「今更、提案型になると意気込む立憲民主党」という記述に対して、立憲民主党(@CDP2017)は2021年1月22日に、「以前からずっと提案してきた」と反論している⑵

(Twitterより)
(Twitterより)
(Twitterより)
(Twitterより)

上記の画像は、野党が新型コロナウィルス感染症対応に関して、政府や与党よりも先に提案してきたことを指している。青が野党で黄色が与党である。

しかし、この画像の青色の事例は、「野党」と表記されており、立憲民主党が関係しているのかまでは分からない。そこで、青色の事例に立憲民主党が関係しているのか検証していく。

国会のデータベースや政党のホームページ、新聞社などの発表を調査したところ、以下のことが分かった(以下、順番は立憲民主党がTwitterに投稿した上記の図に対応)。なお、肩書はいずれも当時のものである。

・2月28日「当初予算組み替え案を提出」

国民民主党などと共に組み替え動議を行ったが、予算委員会で否決 

・3月3日「新型コロナウィルス検査拡充法案を国会提出」

立憲民主党の小川淳也議員らが発議者として、衆議院に「新型コロナウイルス感染症検査の円滑かつ迅速な実施の促進に関する法律案」を提出

・4月23日(実際には4月24日)「医療機関等支援給付金創設を提案」

国民民主党などと共に「令和2年度補正予算組み替え案」として、医療機関等支援給付基金の創設を提案

・4月2日「全国民一律10万円支給を政府に提案」

国民民主党など共に、第3回政府・与野党連絡協議会で「すべての国民に対して一人当たり10万円以上、総額十数兆円規模を現金で給付する」ことなどを提案

4月28日「学費等支援を文科大臣に申し入れ」

国民民主党、社民党と共に、萩生田文部科学大臣に申し入れを行った

・5月11日「困窮学生支援法案を国会提出」

立憲民主党の川内博史議員らが発議者として、衆議院に「新型コロナウイルス感染症等の影響に対応するための学生等の支援等に関する特別措置法案」を提出

・5月8日「ひとり親世帯支援を政府に提案」

国民民主党などと共に、第7回政府与野党連絡協議会で「新型コロナウイルス対策等に関する要望事項」の一つとして、「ひとり親家庭等の生活の安定を図るため、児童扶養手当受給者に対する支援(給付)を行うこと」を提案

・5月15日「コロナ困窮こども支援法案を国会提出」

立憲民主党の尾辻かな子議員らが発議者として、衆議院に「児童扶養手当受給者に対する臨時特別給付金の支給に関する法律案」を提出

・3月25日「損失・減収の一定割合補填を政府に提案」

国民民主党などと共に、第2回政府与野党連絡協議会で「可能な限り、(筆者注:事業者の)税、社会保険料、公共料金等の負担軽減措置を講ずること」などを提案した

・3月25日「補助率引き上げ、支給日数延長、等を政府に提案」

国民民主党などと共に、第2回政府与野党連絡協議会で「雇用調整助成金については、補助額を全国一律10/10とし、支給日数限度を延長するとともに、対象に非正規労働者を加えること」などを提案した

・4月28日「事業者家賃支払い支援法案を国会提出」

立憲民主党の後藤祐一議員らが発議者として、衆議院に「中小企業者等の事業用不動産に係る賃料相当額の支払猶予及びその負担軽減に関する法律案」を提出

・4月23日(実際には4月24日)「5兆円への組替えを提案」

国民民主党などと共に「令和2年度補正予算組み替え案」として、地方創生臨時交付金を追加し、総額5兆円にすることを提案

Twitterで反論していた通り、立憲民主党は一貫して法案提出や政策提案を行っていたことが確認できた。従って、2021年1月20日に投稿された「今更、提案型になると意気込む立憲民主党」という言説は誤りであると判定した。

脚注

(1)Dappi、Twitter、2021年1月20日
https://twitter.com/dappi2019/status/1351650344061685760?s=20&t=3QOBwU-LHT041Dvb2tcVcA

(2)立憲民主党、Twitter、2021年1月22日

https://twitter.com/CDP2017/status/1352529505827442690?s=20&t=z72GBEH92BBK_9aSowW5Yg

(3)衆議院、『第201回国会 予算委員会 第18号(令和2年2月28日(金曜日))』
https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_kaigiroku.nsf/html/kaigiroku/001820120200228018.htm

(4)(旧)立憲民主党、『2020年度予算案が衆院通過。野党提出の新型コロナウイルス対策予算を含めた組み替え動議は予算委で否決』、2020年2月28日
https://archive2017.cdp-japan.jp/news/20200228_2663

(5) 参議院、『新型コロナウイルス感染症検査の円滑かつ迅速な実施の促進に関する法律案』
https://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/gian/201/meisai/m201090201003.htm

(6)(旧)国民民主党、『共同会派 令和2年度第一次補正予算組み替え案(2020年4月24日)』
https://www.dpfp.or.jp/article/202749#20200424

(7)(旧)国民民主党、『第3回政府与野党連絡協議会「共同会派要望事項」(2020年4月2日)』
https://www.dpfp.or.jp/article/202749#20200402

(8)NHK、『学生への支援策充実を 野党3党が文科相に要請 コロナ対応』、4月28日
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200428/k10012409301000.html

(9)参議院、『新型コロナウイルス感染症等の影響に対応するための学生等の支援等に関する特別措置法案』

https://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/gian/201/meisai/m201090201014.htm

(10)(旧)国民民主党、『第7回政府与野党連絡協議会「共同会派要望事項」(2020年5月8日)』

https://www.dpfp.or.jp/article/202749#20200508

(11) 参議院、『児童扶養手当受給者に対する臨時特別給付金の支給に関する法律案』

https://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/gian/201/meisai/m201090201015.htm

(12)(旧)国民民主党、『第1回・第2回政府与野党連絡協議会「共同会派要望事項」(2020年3月19日、25日)』

https://www.dpfp.or.jp/article/202749#20200319

(13)(旧)国民民主党、『第1回・第2回政府与野党連絡協議会「共同会派要望事項」(2020年3月19日、25日)』

https://www.dpfp.or.jp/article/202749#20200319

(14)参議院、『中小企業者等の事業用不動産に係る賃料相当額の支払猶予及びその負担軽減に関する法律案』

https://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/gian/201/meisai/m201090201009.htm

(15)(旧)国民民主党、『共同会派 令和2年度第一次補正予算組み替え案(2020年4月24日)』

https://www.dpfp.or.jp/article/202749#20200424

*最終アクセス日はいずれも2022年3月10日

運営責任者=瀬川 至朗

調査・記事担当者=中山大輝

 

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