「学生街」から早大生は本当にいなくなったのか 8サークルアンケート ― 早稲田とコロナ


日本国内にコロナ禍が吹き荒れている。私たち早大生のまち、早稲田も例外ではない。大学がオンラン授業となり、早稲田大学周辺の飲食店は、「学生が消えた学生街」としてニュースなどに取り上げられることも多かった。早大生は実際にどのような生活をしていたのだろうか。早稲田に人がいないというのは本当だったのだろうか。8つのサークルを対象に今年630日~77日に実施したアンケート調査の結果などをもとに、その実情に迫ってみた。(アンケート・記事・図・写真=牧野天稀)
地方の実家に戻ってオンライン受講

アンケート調査は、ゼミ生が所属する8サークル(1)の会員の早稲田生(計656名)を対象にグーグルフォームを使って実施した。151名からの回答があった(回答率23.0%)。回答者は2年生と3年生の割合が多く、また、学部では政治経済学部生が3割以上を占めるなど、偏りがある点は留意していただきたい。

1学年

 

2学部

集計結果によると、「普段であれば今年4月からの新学期はどこから通学する予定でしたか?」の質問に対して実家が100(66.2%)、早稲田・高田馬場以外の場所で一人暮らし(寮・シェアハウスなども含む)14(20.3%)、早稲田・高田馬場で一人暮らし(寮・シェアハウスなども含む)31(9.3%)となった。このうち「実家以外」と回答した51人の中で、一時的にせよ、地方の実家などに戻ってオンライン授業を受講した経験のある人は35(68.6%)にのぼった。

3通学

 

4どこで受講してる

本来なら早稲田で一人暮らしなどをしている人14人のうち11(78.6%)は実家に帰っていた。春学期の途中で東京に帰ってきた人が2(14.2%)いるものの、アンケート調査の段階までずっと地方に戻っていた人が9人(64.2%)いた。この結果のように、早稲田の飲食店に毎日のように訪れていたかもしれない住人が減っていた可能性がある。春学期中ずっと東京近辺に居続けた実家住まい以外の人は51人の中で16人と少なかった。

早稲田に行かない早大生

「今年4月から6月にかけて早稲田・高田馬場に行ったことがありますか?」のという質問は全員に対しておこなった。回答者151人中99人(65.6%)の人が「1回も行っていない」と回答した。「行ったことがある」は49人(32.5%)だった。元々実家から通う予定だった人など通学圏内に住んでいる人でも、早稲田近辺に行く人は少なかったことがうかがえる。

5早稲田に行った?

早稲田・高田馬場に行ったことある人に、何月に行ったのかを質問したところ、回答のあった51人中、5月に行ったと回答した学生は12人で、4月、6月に比べてかなり少なかった。525日まで緊急事態宣言下にあったことが影響していると思われる。6月は37人が早稲田・高田馬場に訪れており学生が戻りつつある印象はあるが、コロナ禍がなければこのアンケートに回答した151人ほぼ全員が訪れているはずだと考えられる。

6何月に行った

「売り上げは低下」と回答した店が多かった

今回のアンケートは早稲田の8つのサークルに対して実施した限定的なものだが、結果をみると、コロナ禍において早稲田生が早稲田・高田馬場を訪れる機会は少なかったことが示唆されている。

それでは、お店の方はどうだったのか。「早稲田とコロナ」グループ(注2)のゼミ生が実施したリモート取材によると、取材に協力していただいた6店舗(注3)中5店舗は売り上げが低下したと回答した。残りの1店舗はオープンしたばかりでクラウドファンディングや融資を受けていたため資金面の苦労はなかったが、オープンを5月から7月に延期するなど影響が出ているそうだ。

今もアルコール消毒の徹底や換気などコロナ対策を十分に行った上で営業している店が多い。営業時間の短縮や座席数の減少を余儀なくされるなど大きな売り上げは見込めない。Uber Eatsなどテイクアウトの対応を始めた店舗もあるが、それらのサービスは手数料が大幅にかかるため資金面で体力のない店は諦めざるを得ない現状もある。

少しでも前向きに

しかし、これからの展望を悲観しているところは少ない。まずは体制を維持し、着実にPRを続けていく。しかし不安は尽きない。一刻も早く学生に戻ってきてほしいとの嘆きも多い。

早稲田大学は秋学期も基本はオンライン授業を継続すると決定した。早稲田祭もオンラインでの開催だ。しかし、少人数のゼミなどは対面でおこなわれる可能性もある。早稲田の街は、少しずつ活気を取り戻していけるだろうか。

(注1)アンケート調査協力団体(括弧内は会員数)

早稲田大学Music & Movie Gatherin'(125名)
DanceTeamBrilliantPinks(64名)
経済学会(68名)
政友会(33名)
早稲田スポーツ新聞会(103名)
Seiren Musical Project(169名)
LINKS(66名)
無国籍ネットワークユース(28名)

合計656名

(注2)「早稲田とコロナ」取材グループ

イビョンウク
大久保明日香
榊原碧人
嶋田朱里
楢崎美紅
広瀬遼一
牧野天稀
山城修也
山田雄大

 

(注3)取材に協力していただいた店舗・商店会・映画館

西早稲田商店会
早稲田松竹映画劇場
破壊的イノベーション
早稲田メーヤウ
Whistle CAFÉ
Swe Myanmer
(順不同)

2020年度春学期の瀬川ゼミ演習Ⅰ(3年生のゼミ)では、新型コロナウイルスの問題を取材実習のテーマとし、それぞれリモート取材に取り組みました。「海外コロナ事情」と「早稲田とコロナ」という2つの特集企画で記事をお届けします。