<コラム> 政治嫌いの学生が沖縄に行ったら政治家を志した話


私は政治が嫌いだ。毎日のようにテレビなどのメディアでは政治家の演説などが報道されている。しかし日本が良い国に変わっていくことを実感したことはない。沖縄問題においても同じことが言える。基地問題は昔からずっと報道され続けているが、米軍が沖縄から撤退することはなく、基地は残り続けている。(文=小川功輝。トップの写真は佐喜眞美術館所蔵の「沖縄戦の図」の前で)

 

日本はやっぱり敗戦国

2019年9月のゼミ沖縄研修旅行で、沖縄戦を伝える「ひめゆりの塔」や「沖縄師範健児の塔」、佐喜眞美術館などを回り、平和について学ぶ中で、日本は負けたんだ、敗戦国なんだという事実を痛感させられた。なぜ負けたのか?それは戦争当時の国のトップが判断を誤り、真珠湾攻撃を仕掛けたことがきっかけである。リーダーが判断を誤ったことにより負けたという事実を重く受け止めなければならない。当時の軍事権を持っていた日本政府は間違っていた。私はますます政治が嫌いになった。

 

割り切れよ

日本が敗戦国であるという前提で基地問題を考えると、現状は致し方ないように思う。敗戦国が戦勝国に従い、基地を国内に作って守ってもらっている。その基地が戦勝国の都合の良い沖縄という場所に置かれている。これが簡略化した事実である。敗戦国は基地反対などと言える立場ではないと思うし、国内で移設するにしても戦勝国のアメリカが望まないのならば沖縄に残すしかない。基地問題は割り切って、他の観光や雇用など別の問題と向き合うべきだと考える。

 

基地問題を割り切れない理由

基地問題は割り切るべきである。そう考えていた私だが、どうやら簡単な問題ではなさそうだ。琉球大学の学生や様々な沖縄の人々と会っている過程で、戦争を実際に経験した世代と経験していない若い世代の考え方の違い、また沖縄にずっと住んでいる人と他県などから引っ越してきた人の考え方の違いなど、様々な思いが交錯している現状を知った。人々の思いがまとまらない今必要なのは、全員の思いをできるだけ汲み取りながらより良い方向に進めることができるリーダーだと感じた。それは政治に委ねられている。

 

「敗戦国」から抜け出すために

このままでは日本は敗戦国のままである。人々の思いをまとめ上げ、日本を導かないといけない。誰もやらないなら僕がやる。僕らの若い世代からこの問題に立ち向かわなければならない。沖縄に行く前は政治が嫌いな僕だったが、政治家を志すことにした。これからの沖縄問題を考える為にも、若い世代にはまず沖縄に足を運ぶことを薦めたい。

普天間基地に近い嘉数高台公園展望台からの景色
普天間基地に近い嘉数高台公園展望台からの景色(撮影=小川功輝)

このコラムは2019年9月のゼミ研修旅行をもとに作成されました。