早稲田キャンパスに謎の煙突


 

早稲田通りから早稲田キャンパスへ向かう途中、馬場下町交差点から8号館(法学学術院)の方を見てみると屋上に煙突があるのに気がついた(トップの写真=煙突は左側の屋根の上)。しかし、8号館の真下からは見えない位置に煙突がついていることもあり、その存在を知っている人は少ない。飾りなのではないかとも考えられたが、ある時、煙突から煙が出ているのを見た。現役で使われているようだ。きっと何かの役割があるに違いない。(取材・写真=岡本太郎)

 

8号館や11号館、大隈講堂に存在

 

もしかして他の建物にも煙突がついているのではないかと思い、早稲田キャンパス内の建物をよく見回してみると、他にも国の重要文化財に指定されている大隈講堂(1927年竣工)と、比較的最近建てられた11号館(商学・国際学術院、2009年竣工)にも煙突がついているのがわかった。煙突の形状は11号館のものは、8号館(法学学術院、2005年竣工)とよく似た形状のものであったが、大隈講堂にある煙突は、それよりも太く大きなものであり、用途が違うようにみえる。

 

煙突の正体

 

煙突はいったい何のためにあるのか、キャンパスを管理する(株)早稲田大学プロパティーマネージメントに問い合わせたところ、8号館及び11号館にある煙突は、非常用の発電設備の排気塔であるとの回答を得た。煙突は、停電の時でも建物に灯りを灯し続けるための発電設備の一部であったのだ。こうした、停電時に備えるための非常用の発電設備は、近年建築された比較的大きな建物には、大方設置されているという。そのため、煙突のある8号館、11号館の他にも14号館(社会科学部棟)や3号館(政治経済学術院)にも発電設備は設置されている。(ただし、排気塔の形状は様々で、すべての発電設備の排気塔が煙突の形になっているわけではない。)

11号館の屋上にある煙突
11号館(商学・国際学術院)の屋上にある煙突

月一回の設備点検

 

「8号館の煙突から黒い煙が出ていた」と言っても、ほとんどの人はそもそも煙突の存在を知らないし、「見間違いではないか」と言い信じてくれない。しかし、煙が出ているのは間違いではなかった。月に一回、非常用の発電設備(燃料は重油)が動作するか確認しており、その時に煙突から黒い煙が出ていたのだ。

 

大隈講堂の煙突は・・・

大隈講堂の煙突
大隈講堂の煙突。講堂の裏手に煙突がある(写真右方)

大隈講堂にも煙突はあるが、その趣は明らかに8号館、11号館の細長い物とは異なっている。謎を解き明かすため、講堂の煙突についても問い合わせてみたところ、大隈講堂の裏側にある煙突は、現在は使われていないものであるとの回答を得た。昔、ボイラーで講堂内を暖房していたことがあり、その時に使われていた煙突であったのだ。大隈講堂が歴史ある建物だからこそ、煙突が存在しているのである。

 

参考 (株)早稲田大学プロパティーマネージメントhttp://www.waseda-pm.com/