ギャンブル場は治安悪化を招くのか~データで見る犯罪率傾向~


2016年12月、IR推進法[1]が公布・施工された。国内へのカジノ誘致を認める法律だ。当時、私はまだ成人していなかったが、IR推進法の施工には心が躍った。あれから約4年の歳月が経った。私は成人し、立派なギャンブル好きになっていた。しかし、IR計画はいまだ大きな進捗を見せていない。その理由のひとつに、治安悪化を心配する声がある。ギャンブル場があると、治安が悪くなる。当然のように受け入れられている考えだ。しかし、本当にそうなのだろうか。一人のギャンブル好きとして、私は疑問を抱いた。データを用いれば、この疑問を解決することができるはずだ。こうして私は調査に着手することになった。(取材・執筆・写真=近藤彩斗)

東京都大田区の平和島ボートレース場(筆者撮影)
東京都大田区の平和島ボートレース場(筆者撮影)
IRへの懸念

まず、IRに関連する、現在の状況を詳しく見ていこう。IR推進法とは、カジノ施設を包含する特定複合観光施設区域(IR)が経済振興に貢献すると認め、IRを推進することが目的の法律である。また、IRとはカジノ施設及び会議場施設、レクリエーション施設、展示施設、宿泊施設などが一体となっている施設を指す。IR推進法の施行を受け、横浜市をはじめとするいくつかの自治体がIR設置へ向けて動き出した。その一方でIR反対の声も根強い。会議場施設、レクリエーション施設、展示施設、宿泊施設の新設が大きな問題になることはあまりないので、カジノ施設の是非が争点になっているといえるだろう。以下のグラフは、横浜市が開催したIR市民説明会において実施されたアンケート[2]の結果である。

 

あなたや、家族・友人など身近な人たちにとって、IRはどのような部分に不安を感じますか
(〇は3つまで、有効回答数:2919)

回答番号 項目 回答数
1 観光客の増加によるトラブル 583
2 交通渋滞や公共交通機関の混雑 627
3 横浜のイメージの悪化 939
4 依存症の増加 1032
5 青少年への悪影響 819
6 マネー・ロンダリング 460
7 反社会的勢力の関与 1165
8 周辺地域の治安悪化 1133
9 その他 284
10 該当なし 98

graph1

「反社会勢力の関与」「周辺地域の治安悪化」が特に心配されていることが分かる。つまり市民の多くが、IRを設置することによって、犯罪が増加するのではないか、と懸念しているといえる。

 

過去を振り返る

では、ここで争点になっているカジノ施設は、実際に犯罪を増加させるのだろうか。カジノ施設と犯罪の関係性は、古くから研究対象とされてきた。チャールストン大学の経済学者、ダグラス・M・ウォーカーは、カジノ施設と犯罪の関係性について、過去の関連研究を下表のようにまとめている[3]

カジノと犯罪率に関する主な研究(1985-2010) ※Walker(2010)を参考に筆者作成
研究名 対象地域 調査年 カジノ開場年 カジノによる犯罪率の増加 観光客を対象に含むか
Albanese(1985) Atlantic City 1978-1982 1978 ×
Friedma et al.(1989) Atlantic City 1974-1984 1978 ×
Hakim and Buck(1989) Atlantic City 1972-1984 1978 ×
Curran and Scarpitti(1991) Atlantic City 1985-1989 1978 ×
Giacopassi and Stitt(1993) Biloxi, MS 1991-1993 1992 ×
Chang(1996) Biloxi, MS 1986-1994 1992 ×
Stokowski(1996) Colorado 1989-1994 1991 ×
General Accounting Office(2000) Atlantic City 1977-1997 1978 ×
Gazel, Rickman, and Thompson(2001) Wisconsin(tribal) 1981-1994 various ×
Wilson(2001) Indiana 1992-1997 1995 × ×
Evans and Topoleski(2002) National(tribal only) 1985-1989 various ×
Stitt, Nicols, and Giacopassi(2003) Various 1980s-1990s various Mixed
Betsinger(2005) 144 countries in 33 States 1977-2001 various Mixed ×
Grinols and Mustard(2006) National 1977-1996 various ×
Barthe and Stitt(2007, 2009a, 2009b) Reno, NV 2003 1937 ×
Reece(2010) Indiana 1994-2004 1995 ×

注目してほしいのは「カジノによる犯罪率の増加」の欄だ。〇が6個、×が8個、“Mixed”が2個と結果が割れている。カジノと犯罪の関係性については、白黒ついていないことがわかるだろう。ウォーカー自身も「カジノが犯罪を引き起こしているとする研究もあれば、観光地化の影響が犯罪増加の原因である可能性が高いと主張する研究もある。より多くの調査が必要だ[4]」(筆者訳)と述べている。一番右の欄の「観光客を対象に含むか」については後述する。

 

欠けている国内の研究

先行研究によると、カジノと犯罪率の関係は明らかでないようだ。しかし上に挙げられている先行研究はすべて海外の事例だ。海外と日本は事情が異なる。日本におけるカジノと犯罪率の関係はどのように考えられているのだろうか。当然ながら、現在日本国内に公的なカジノは存在しないため、便宜的ではあるが競馬場などの公営競技場について考えたい[5]。結論から言うと、公営競技場を対象にした研究はほとんど存在しない。近年のデータを利用した研究は皆無であるといっても良いくらいだ。こうした状況でIRの是非を判断するのは、いささか早計であるといえる。ウォーカーの言う通り、「より多くの調査が必要だ」。IRについての適切な議論を行うためにも、日本における公営競技場と犯罪率の関係が明らかにされなくてはならないと感じた。そこで、「日本の公営競技場は、犯罪率を悪化させる傾向にあるのか」を調べることを目的とする調査を行うことを思い立った。

 

犯罪率の対象 住民だけか、観光客も含むか

前節で調査目的を「日本の公営競技場は、犯罪率を悪化させる傾向にあるのか」としたが、あまり日常会話では使用されない単語が混ざっている。「犯罪率」だ。犯罪の増減について議論するときには、単純な犯罪件数ではなく、犯罪率が用いられることが多い。これは人口が多ければ、犯罪もその分多く発生するからだ。実際、ウォーカーが挙げている研究においても、犯罪率が用いられている。しかし、注意するべき点がある。それは、犯罪率の対象を住民に限るのか、観光客も含むのかによって、犯罪率の値が変わってしまうことだ[6]。今回は、住民のみを対象とする犯罪率をタイプ1、住民と観光客を対象とする犯罪率をタイプ2とする。

タイプ1は住民のみを対象とするので、ある地域で発生した犯罪の数を住民数で割ることで求められる。最も単純で直感的な犯罪率の求め方といえる。インターネット上の、地域毎の治安を比較しているサイト内では、治安の良し悪しを測る指標として、この求め方を用いて計算された犯罪率がしばしば使われる。また、従来の学問的な研究でも用いられてきた犯罪率でもある。しかし近年、学問的な研究において、この求め方とは違った方法で犯罪率を導出することが増えてきた。この方法に、何か問題があったのであろうか。実は、この方法で求められた犯罪率は、議論の余地があるといえる。どういうことか。考えてみてほしい。ある犯罪が発生した際、その事件の犯人が犯罪発生地域に住んでいる、ということがどれだけあるだろうか。別の地域から来た人が犯罪を起こしたというケースも往々にして存在するのではないだろうか。タイプ1の導出方法は、そうしたケースを完全に除外している。つまり、ある地域で起きた犯罪はすべて、その地域の住民が起こしたものである、という前提に基づいた導出方法といえる。その意味で「正確」ではないのである。カジノと犯罪率の関係に関する研究においてはこの点が問題になった。具体的に見てみよう。

ある地域にカジノが建設され、多くの観光客が訪れた。そこで犯罪数が増加したとする。タイプ1を使用すると、発生した犯罪はすべて地域の住民が起こしたものとみなすので、犯罪数が増加すれば当然犯罪率も増加する。とはいえ、カジノができたことで住民が突然犯罪に走り始めるとは考えにくい。したがって、犯罪率はカジノが建設されたことで増加したと解釈できる。しかし、少し待ってほしい。犯罪率の悪化は、本当にカジノのせいなのだろうか。カジノを訪れた観光客の影響なのではないだろうか。つまり、このケースで犯罪率が上昇したのは人が増えたからであって、カジノが持つ影響を表しているとは言えないのではないか。タイプ1ではこの疑問に答えることはできない。疑問に答えるため、タイプ2が使われるようになる。

タイプ2は、訪れた観光客の数も考慮に入れる。つまりタイプ2では犯罪数を住民と観光客を合わせた数で割る。例えば、住民数が1万人、観光客1000人、犯罪数110件の地域について考える。100人当たりの犯罪率は、タイプ1で求めると「1.1」になる。一方、タイプ2を用いると「1」になる。このように、タイプ2の方がタイプ1よりも小さくなることがわかるだろう。これは、関わっていると思われる人の数を犯罪率に反映できているからであり、前の節の「人が増えたから犯罪率が増加しているのではないか」という疑問にうまく対処している。タイプ2の犯罪率を用いることで、人の数以外の要因がどう作用しているか、より正しく検討できるようになった。ただしタイプ2の使用には注意が必要といえる。犯罪率が小さくなっていても、分子は変わっていないので犯罪数自体はそのままだ。犯罪率という見かけの数字が減っていても、発生している犯罪数はかわらない。場合によっては、状況に見合わないほど低い犯罪率が導出される可能性もある。

改めて先ほどの表をご覧いただきたい。「観光客を対象に含むか」の欄について説明しよう。これはタイプ2を採用しているかどうか、ということである。次に「カジノによる犯罪率の増加」の欄との対応を見てほしい。「カジノによる犯罪率の増加」はタイプ2を用いると“×”になり、タイプ1を用いると“〇”になる傾向がある。タイプ2を用いると分母、すなわち対象となる人の数が大きくなるから、犯罪率は小さくなる。それゆえ犯罪率が増加するケースは少なくなる。だからカジノが犯罪率を増加させている、という結論は出にくくなるのである。

 

適切なのはどちらか

以上を踏まえ、今回の調査ではあえてタイプ1を用いることにする。タイプ2は、あくまでもカジノによる観光客の増加とそれ相応の犯罪率の増加は前提として、更なる犯罪率の上昇を捉えるための方法だ。「カジノで観光客が来るんだから、犯罪が増えるのは当然でしょ。でも、そこまで犯罪が増えたわけではないから、犯罪率はあがってないね」とまで言うことができてしまう。確かに、純粋なカジノの犯罪率への影響を調べるのなら良いかもしれない。しかし、今回のテーマである、「日本の公営競技場は、犯罪率を悪化させる傾向にあるのか」を考える際に本当に知りたいことは、「結局、犯罪は増えるの、増えないの?」ということではないだろうか。そしてそれを明らかにするためには、タイプ1が適切だろう。

もう一つ理由がある。タイプ1の導出に必要なデータが揃っていることだ。地域の住民数は、公的機関が正確な記録を取っている。そのため、タイプ1の犯罪率は扱いやすい。一方、タイプ2の犯罪率を求めることは難しい。観光客の数を把握する必要があるからだ。さらに、観光客以外のたまたまその地域を通過した者や、地域外から通勤してくる労働者をどう扱うか、という問題も浮上する。要するに、複雑になりすぎる。

このような理由から、タイプ1を採用する。以下では単に「犯罪率」といったときにはタイプ1の犯罪率を指すとする。

 

両極の結果に

今回は東京都、千葉県、兵庫県を対象に調査を行った。

まず、ある都道府県において、都道府県全体、公営競技場がある自治体それぞれ、公営競技場がない自治体をまとめたものの犯罪率を比較する。次に一つの都道府県内で、公営競技場がある自治体とない自治体の犯罪率を比較する。この比較方法は犯罪率の変化に着目した独自の方法である。参考文献の方法を踏襲しているわけではないことに注意されたい。なお、犯罪数のデータは、各都道府県警察のホームページ、もしくは情報公開を通じて入手できたものを使用している。

下表は東京都、千葉県、兵庫県にある公営競技場をまとめたものだ[7]

 

東京都・千葉県・兵庫県にある公営競技場

都道府県 公営競技場 所在地 初開催年
東京都 東京競馬場 府中市 1933
大井競馬場 品川区 1950
多摩川ボートレース場 府中市 1954
江戸川ボートレース場 江戸川区 1955
平和島ボートレース場 大田区 1954
京王閣競輪場 調布市 1949
立川競輪場 立川市 1951
千葉県 中山競馬場 船橋市 1920
船橋競馬場 船橋市 1950
松戸競輪場 松戸市 1950
千葉競輪場 千葉市 1949
兵庫県 阪神競馬場 宝塚市 1949
姫路競馬場 姫路市 1949
園田競馬場 尼崎市 1930
尼崎ボートレース場 尼崎市 1952

 

以下は東京における犯罪率の推移を示すグラフ[8]である。

おおむねすべてのグラフが減少傾向にあることが分かる。

さらに、公営競技場を含む地域と含まない地域の犯罪率の推移を下に示す。

視覚的には公営競技場を含む自治体の方が、犯罪率は小さいように見える。ここでWilcoxonの符号付順位和検定[9]と呼ばれる方法を用い、2つのグラフを比較すると、統計的に有意な差があることがわかる[10]。したがって東京都においては公営競技場を含む自治体の方が犯罪率は小さい。

次に見るのは千葉県のデータ[11]だ。

千葉県は公営競技場を含まない自治体の方が犯罪率は小さいように見える。同様にWilcoxonの符号付順位和検定を用いると、統計的に有意な差があるといえる。したがって千葉県においては公営競技場を含まない自治体の方が犯罪率は小さい。これは東京都とは反対の結果である。

最後に兵庫県の結果を確認[12]する。

兵庫県は千葉県のものと同様に、公営競技場がない自治体の方が犯罪率は小さいように見え、検定を行うと統計的に有意な差があることがわかる。

まとめると、東京都は公営競技場がない自治体の方が犯罪率は高く、反対に、千葉県と兵庫県は公営競技場がある自治体の方が犯罪率は高かった。今回の調査において公営競技場の有無による一貫性のある結果は得られなかった。

 

レースの開催は犯罪率に影響を与えるか

さらに、別の視点からも調査を行った。兵庫県の姫路競馬場は、平成25年から令和元年の間開催が無かった[13]。開催が無かった期間に犯罪率が小さくなっていれば、競馬場の存在、すなわち公営競技が行われることが犯罪率を上昇させるといえるだろう。犯罪率の変化を分かりやすくするために、犯罪率の変化率[14]を使用した。犯罪率の変化率を示すグラフが以下である。

graphchange1

姫路市の犯罪率が、無開催期間に入ったことで減少傾向に転じているようには見えない。平成15年以降犯罪率はずっと減少傾向であり、ときたま増加に転じることはあるが、連続して増加することはない。また、おおむね兵庫県全体における犯罪率の変化率と同じような推移をしているように見える。ここで、先ほどの犯罪率の推移と同様にWilcoxonの符号順位和検定を用い、兵庫県全体における犯罪率の変化率との比較を行った。有意水準5%で、平均的に差がない可能性が高いという結果になった。この結果から、レースの開催の有無は犯罪率に大きな影響を与えないし、犯罪率の傾向も県全体と大きく変わらない、ということがわかる。

 

印象は一人歩きの恐れあり

ここまで、2つの視点から公営競技場が犯罪率に与える影響について検証してきた。1つ目は、同じ都道府県内における、公営競技場の有無による犯罪率の違い。これは、明確な差があったものの、その差は都道府県によって正反対のものだった[15]。2つ目は、レース開催の有無を加味した、犯罪率の変化率。レースの開催非開催に関わらず、犯罪率の変化傾向は大きく変わらなかった。さらに、公営競技場がある自治体と、それを含む都道府県全体における犯罪率の変化は、同様とみなすことができた。以上のことから、公営競技場がある、すなわち治安が悪い、と言い切ることはできない、ということがわかった。多くの人は公営競技場に対し、なんとなく悪い印象を持った経験があるだろう。しかし今回の調査は、公営競技場のある地域は犯罪率が高い、と言い切ることはできないという結果だった。公営競技場があると治安が悪化するという説は、なんとなく持った悪い印象が一人歩きした末と考えることはできないだろうか。しっかりとした根拠をもって物事を捉える姿勢が重要だ。

今回の調査の反省点としては、何が犯罪率を悪化させるのか、という根本的な問題の解決への糸口をつかむことはできなかったことが挙げられる。また、今回調査することができたのは東京都・千葉県・兵庫県のみだが、公営競技場は全国各地に存在する。他の地域、願わくばすべての公営競技場がある地域(海外含む)について同様の手法で調査が行われるべきだろう。

 

[1] 特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律

[2]横浜市『IRの実現に向けて 市民説明会アンケート』

https://www.city.yokohama.lg.jp/city-info/seisaku/torikumi/IR/shiminsetsumeikai.files/anketokekka.pdf

[3] Walker,D.M, “Casinonomics The Socioeconomic impact of the Casino Industry”, Springer, 2013

[4] Walker, D.M. (2013), Casinonomics The Socioeconomic impact of the Casino Industry, Springer “Some studies suggest that casinos cause crime, while others argue that it is more likely a tourism effect. More research is needed.”

[5] カジノと公営競技場は別物ではあるが、多くのカジノではスポーツブックといってスポーツの結果を予想するギャンブルがあり、そこでは競馬を楽しむこともできる。したがって、カジノと公営競技場が完全に別物であると言い切ることはできない。

[6] pr:住民の数、pv:観光客の数、

cr:住民が起こした犯罪の数、cv:観光客が起こした犯罪の数

とすると、2種類の犯罪率は以下のようになる。

① cr + cv / pr

② cr + cv / pr + pv

[7] JRA日本中央競馬会, https://www.jra.go.jp/, 地方競馬情報サイト, https://www.keiba.go.jp/index.html

BOAT RACEオフィシャルウェブサイト, https://www.boatrace.jp/

KEIRIN.jp, http://keirin.jp/pc/top

[8] 『警視庁 区市町村の町丁別、罪種別及び手口別認知件数』『東京都の統計 住民基本台帳による東京都の世帯と人口』より作成

犯罪率の導出に際しては1月1日時点の人口を使用

[9] ノンパラメトリックな2つのデータに対して使用されることが多い検定手法。2つのデータの分布に差があるか検定することができる。

[10] 帰無仮説H0:2つのグループの分布に差はない

対立仮設H1:2つのグループの分布に差がある

(1)で符号が正のデータの(3)における順位和は55

(1)で符号が負のデータはないので順位和は0

小さい方の順位和を使用するので、0を使用する

(2)の値が0ではないデータの数はn=10<25

ゆえにWilcoxonのサインライク検定表を使用する

有意水準α=0.05で考える

Wilcoxonのサインライク検定表よりα=0.05, n=10の値10を比較値とする

0<10だから対立仮設を棄却しない

したがって2つのデータの平均値には差があるといえる

[11] 『千葉県警察 刑法犯認知件数の推移』『千葉県毎月常住人口調査報告書』より作成

犯罪率の導出に際しては10月1日時点の人口を使用

[12] 『兵庫県警察 刑法犯発生市区町別認知件数』より作成

犯罪率を導出するに際しては10月1日時点の人口を使用

[13] 馬券売り上げの低迷などの理由から平成24年8月30日から開催を休止していた。令和2年1月15日に再開。

[14] 犯罪率の変化率=(ある年の犯罪率-前年の犯罪率)/前年の犯罪率 * 100

[15] 仮にすべての都道府県で結果が一致したとしても、公営競技場が犯罪率を悪化させているとは言い切れないことに注意したい。今回の調査では公営競技場の有無のみに着目しているが、犯罪率が他の要因の影響を受ける可能性は大いにある。


参考文献

Walker,D.M, “Casinonomics The Socioeconomic impact of the Casino Industry”, Springer, 2013

Jay S. Albanese, “White collar crimes and casino gambling: looking for empirical links to forgery, embezzlement, and fraud”, “Crime Law Soc Change” 49 (2008):333-347

Earl L. Grinols and David B. Mustard, “Casinos, Crime, and Community Costs”, “Law and Economics” (2005):28-45

統計分析研究所 株式会社アイスタット『統計的推定・検定の手法別解説 ウィルコクソンの符号順位和検定(サインランク検定/U)』, 最終アクセス2020年12月25日, https://istat.co.jp/sk_commentary/wilcoxon

この調査記事は瀬川至朗ゼミの2020年度卒業作品として制作されました。