学内コンビニの奮闘 WASECO


政治経済学部の事務所が入っている早稲田大学3号館。2014年9月に新しい3号館の建物が完成し、その1階にコンビニエンスストアが店を構えた。セブンイレブンWASECO店だ。多くの学生でにぎわう3号館で営業を続けるWASECOにはどんな苦労があり、どんな工夫が施されているのか。オープン以来働いている副店長の福村雄一郎さん(43)にお話しを聞いた。(取材・写真=神谷敦紀)

 

「年中無休」ではない利点と苦労

 

「WASECO」という名前は公募で選ばれた。「(早稲田の)早・ 輪・和」「政経」「コープ」の頭文字を取って名付けられた。WASECOの「CO」はコープの「CO」であり、WASECOは数ある生協店舗のうちの一つという形態をとる。現在の店員数は全体で33人。うち早大生が23人となっている。特定学部のテスト期間にシフトに穴が開かぬよう、様々な学部の早大生が働いている。

通常のコンビニと大きく異なるのが営業時間だ。コンビニといえば24時間営業、年中無休でお馴染みだが、WASECOは朝8時30分から夜22時までの営業で、日曜日など大学が休みの際は店を閉める。閉店している時間があることは経営に影響を与える。夜に店を閉めるので、深夜勤務の人を雇うお金が浮く。一般に終電後〜朝方の時間帯のコンビニ営業は赤字になるが、WASECOではその赤字が出ない。

一方で、たとえば翌日の朝まで期限がもつ品物も22時に全て廃棄しなければならない。日曜は休業なので、土曜日の夜には、日曜あるいは月曜朝までもつ品物も処分してしまう。他店へ移送しようにも気温との関係から難しい。これらのことを覚悟の上で品揃えをしなければならないのが学内コンビニの難しいところだ。

 

生協店舗としての独自色

 

WASECOは生協店舗の一つであり、オーナーは生協だ。店長と副店長は生協から出向している。店長の方はか

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WASECOに導入された「ひとことカード」

つて7号館のコープで勤務、副店長である福村さんも戸山店のコープで働いていた。「教員と学生の利便向上」が学内コンビニWASECOの理念である。

生協の店舗であることの強みは、オリジナリティーを出せることだという。初めのうちはしっかりと決まっているセブンイレブンのシステムに従って運営するのでいっぱいいっぱいだった。しかし次第に慣れてきて、「ひとことカード」の導入、「早稲田グッズ」コーナーの設置といった独自色を打ち出すようになった。「もっとも店のスペース的な限界もあり、生協らしいかと言われると『?』マークかな。もっとこうしたらいいのではという意見を是非学生の皆さんにお聞きしたいです」とも福村さんは語った。

また、運営しているのが生協であるため、入荷する商品の選択権もWASECOにある。セブンイレブンがどんな商品の販売促進を図っているかによらず、WASECOで売り上げが見込めそうなものを第一に考えて入荷できるのだ。この点も強みだと福村さんは教えてくれた。

 

スピードアップと品揃えが課題

 

WASECOが営業を始めて今年9月で2年になる。「初めの1年は、客数もわからず人の流れも読めなかった。」(福村さん)。3号館及びラウンジの利用方法、夕方〜夜間の人の波など、1年かけてなんとなくつかめてきた。これからについては、「スピードアップと品揃えが課題です」と語る。

最大の課題は、回転率の悪さだそうだ。大学の昼休みの50分間には500人程の利用者が押し寄せる。普段は4人、昼にはレジ6人+2人の8人体制で精一杯の対応をしているものの、行列は避けられない。

「レジをもう1台置こうにもスペースがないんです」と福村さんは指摘する。並ぶ時間をなんとか短くしようと研究を重ねる。客が行列に入りレジに向かうまでにかかる時間を調べたり、レジにかかる時間の短縮を図ったりしている。一人あたりのレジ時間を30秒以内にすることを各店員は意識して働いている。「皆さん並んでいただいてほんとうにありがたいです。申し訳なくて、なんとかしてあげたいのですが・・・」。インタビュー中、何度も何度もこの言葉を福村さんは口にした。

品揃えもまた、大きな課題だ。4月には1日200杯売れたというレギュラーコーヒーでは、ミルクに砂糖、はたまたカップを切らしてしまうこともままある。多めに見積もって機会ロスを失くそうと常に心がけている。店の裏には所狭しと商品が置いてある。しかしその上をいく売れ方をしてしまうこともある。天気との関係、授業時間割との関係からの曜日ごとの動向の分析も加えて研究もしている。

 

ゴミの分別を意識してほしい

 

トラブルも起こさない、いい人たち。それが福村さんの早大生に対しての印象だという。「暴動も起こさずに並んでくださってとてもありがたいです。」と繰り返し語る。学生への要望について尋ねると、「強いて言うなら」と前置きをした上で「ゴミの分別」をあげてくれた。「ややこしくて迷うかとは思うが、もう少し意識していただけるとありがたいです」。