ファンが再開した「メーヤウ」 — 早稲田とコロナ


早稲田メーヤウをご存知だろうか。聞いたことがある人もいるかもしれない。2017年に閉店するも今年復活をしたカレー屋だ。今年5月にオープン予定だったがコロナの影響で延期し、7月4日にオープンした。新店舗は西早稲田駅から徒歩2分の場所になる。コロナによって新店舗の戦略はどうなったのだろうか。早稲田メーヤウのオーナー、高師雅一さんに話を聞いた。(取材・文=嶋田朱里)

トップの写真は看板メニューのチキンカリー=早稲田メーヤウ提供

 

ファンの力は大きかった

当初オープン予定だった5月はオープン出来ない状況だった。オープンしないとなると様々な負担が大きいと思うがその決断はどうしたのだろうか。「5,6月の売り上げは立たないが、クラウドファンディングや創業融資(注1)を受けて、そこまで資金面での苦労はなかった」と言う。実際に、目標が150万円だったクラウドファンディングは約420万円も集まった。最終的に285%、目標をはるかに超えた。成功した要因は早稲田のOBOGなど、応援してくれる人たちが既にいたからだという。

 

早稲田メシとして人気だったメーヤウ

もともと早稲田メーヤウは1997年から2017年までの21年間、馬場下町交差点近くにお店があったカレー屋で、いわゆる早稲田メシとして人気があった。だが、当時店長だった高橋忍さんの体調もあって惜しまれつつも突然の閉店となった。その後、イベントで一日限定販売をしたところ行列が出来るほどだった。その人気ぶりに熱烈なファンである高師さんがメーヤウの味を絶やしてはいけないと感じ、復活に向けてオファーをしたのだ。復活もファンの熱意だったが、クラウドファンディングでもファンの熱意がメーヤウの力になった。

既存のファン以外へのアプローチはどうするのだろうか。現在の早大生にはメーヤウを知らない世代も多い。オンライン授業の状況ではあまりイベントはできないが、対面授業が再開すれば、「早稲田のイベントすべてに関わり“辛いカレー”のイメージを広めたい」と語る。様々な媒体で紹介されることで認知を上げたい。毎年発売する『マイルストーン』への掲載も目標だ。

 

中央にいるのが高師雅一さん、右が元店長の高橋忍さん
元ファンで現オーナーの高師雅一さん(写真中央)と元店長の高橋忍さん(同右)=早稲田メーヤウ提供
飲食店の新しい形

しかし早稲田に人がいないという状況が数か月続く時どうするのか。早稲田に学生がいないのなら、学生以外をターゲットにする。単価を変える。人がいないのなら遠方の方も買えるように通信販売をする、などこれまでの常識を覆す戦略を教えてもらった。また、「お客さんがメーヤウのお店で食べる確立は低くなる」と高師さんは言う。どういうことだろうか。UberEatsやレトルトのカレー。店舗での営業がボトルネックになるなら、工場で作る方法もある。今や様々な方法が作り方でもお届け方でもある。店舗にこだわらないお店のあり方。実際にレトルトの開発をし、その通信販売はすでに開始している。

 

再開後のテイクアウト販売は順調

7月4日、ついにオープンした。これからの展望はどのようなものだろうか。まずは既存のお客様に美味しいと思ってもらう。そして、どこでも食べられるように、届けられるようにと開発したレトルトカレーを使ってPRを行いさらに認知を上げる。クラウドファンディングも、またする予定だ。新たな飲食店のあり方を考える方針に飲食業界の未来を見た気がした。「今後店舗で食べること自体が特別な体験になる」その意識がこの状況の中で重要なキーワードになると感じた。現在コロナの影響もあり、週3日のテイクアウトのみで営業をしている。オープン後は順調だと言う。メーヤウの公式Twitterには連日お客さんからの感想がきている。また、お店の空いた時間に通販を作るなど店舗と通販を併用した営業をおこなっている。(取材は2020年6月12日と8月16日の2回、電話でおこなった)

 

(注1)創業融資

創業融資とは、開業する際に自己資金のみで事業資金を調達することができないため、他者からお金を借りて開業すること。

 

参照

早稲田メーヤウHP https://maeyao.jp/

クラウドファンディング https://camp-fire.jp/projects/view/105458

高師さんのnote https://note.com/masakazu531/n/n64f92944a87a

Twitter @Maeyao_waseda

(検索日2020年8月13日)

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2020年度春学期の瀬川ゼミ演習Ⅰ(3年生のゼミ)では、新型コロナウイルスの問題を取材実習のテーマとし、それぞれリモート取材に取り組みました。「海外コロナ事情」と「早稲田とコロナ」という2つの特集企画で記事をお届けします。