【ファクトチェック】れいわ新選組は「最大3ヵ月のステイホーム期間中は消費税ゼロ」を掲げているとの放送は不正確。日本テレビ系列『ウェークアップ』
コンテンツ
トップの画像はウェークアップHPより⁽¹⁾
疑義言説
10月16日に放送された読売テレビの報道番組『ウェークアップ』(毎週土曜日8時~)で、れいわ新選組が「消費税ゼロ(最大3ヵ月のステイホーム期間中)」という公約を掲げているとの説明があった。今回はこの言説の真偽を検証する。
選定理由
この情報は全国放送の番組『ウェークアップ』の各党の公約を特集する中で紹介された。多くの人が、この情報を目にしたと考えられる。
ツイッターでは、同番組で使用されたフリップの画像を引用し、「この番組でれいわ新選組がステイホーム期間だけ消費税ゼロを掲げているような誤った放送をしています。れいわはずっと消費税ゼロを目指しています」などと誤りを指摘し、訂正を求めるツイートが拡散している。このツイートは2021年10月30日時点で1405リツイート、107引用リツイートされ、2134いいねを獲得している。
衆院選の投開票を10月31日に控えている中⁽²⁾、メディアの発信はより一層重要性を増している。れいわ新選組の消費税公約は「最大3ヵ月のステイホーム期間中は消費税ゼロ」だとする報道は正しいのか、検証する必要があると考えた。
判定
れいわ新選組は「最大3ヵ月のステイホーム期間中は消費税ゼロ」との公約を掲げている=不正確
判定理由
れいわ新選組が掲げるのは恒久的な『消費税の廃止』
れいわ新選組公式ホームページ(以下HP)に、2021年れいわ新選組マニフェストとして「れいわニューディール(以下、マニフェスト)⁽³⁾」が掲載されている。マニフェストは「コロナ緊急対策」と「景気爆上げ大作戦」が2本柱だとHPには記されている。読むと、「コロナ緊急対策」が時限的な公約、「景気爆上げ大作戦」が長期的な公約となっている。
そのうち「コロナ緊急対策」の冒頭には、「最大3ヶ月の徹底補償付きステイホームの期間内に、保健所体制、医療体制を強化しながら、感染をコントロールできる体制を整える」という記述がある。
さらに読み進めていくと、 徴収の「免除」という見出しがあり、
「ステイホーム期間中、必要な固定経費は、免除します」というの項目の中に「消費税ゼロ」も含まれている。
つまり、時限的なコロナ対策として最大3ヵ月のステイホームを実施し、その期間中の対策の一つとして消費税ゼロの実施を掲げていることになる。『ウェークアップ』の報道は、この部分をれいわ新選組の消費税公約として扱っている。
しかし、れいわ新選組が消費税の公約として掲げているのは、ステイホーム期間とは関係のない恒久的な「消費税の廃止」である。
HPに掲載されているマニフェストのもう一つの柱である「景気爆上げ大作戦⁽⁴⁾」のなかに、「消費税の廃止(毎日を10%OFFに)」が公約として記されている。
読売テレビ『ウェークアップ』は、れいわ新選組の消費税廃止公約を「コロナ緊急対策」の文章から引用し、本来の消費税公約が記されている「景気爆上げ大作戦」は見落としていたようだ。
れいわ新選組の反応
「消費税ゼロ」を時限的なものと捉えているならば、それは「誤り」
10月22日、れいわ新選組に対して問い合わせフォームから、「れいわ新選組は「消費税廃止」を公約に掲げており、「消費税ゼロ」は3ヵ月のステイホーム期間に限ったことではないため、『ウェークアップ』の放送内容は誤りか」と質問をしたところ、10月23日に以下の回答を得た。
私たちが政権をとった場合という前提の上で
当方の目指す政策は「3ヶ月ステイホーム時の消費税ゼロ(消費税をゼロにする緊急法案、軽減税率としてゼロ税率にするなどの法案の成立で実現)」と合せて、「この消費税ゼロの状態において、税制改正を行い、所得課税の累進性強化、法人税の累進税化の改正などの総合改革を実行することと合せて消費税廃止(ゼロ税率とは違う)を実現すること」です。
したがってわたしたちの掲げる「消費税ゼロ」は「時限的な減税」ではありません。ステイホーム期間内に実行した「ゼロ」は消費税廃止法案が成立するまで続けるという想定です。
その意味で、この番組が「消費税ゼロ」を時限的なものと捉えているならば、それは「誤り」です。
れいわ新撰組のマニフェストの分かりにくさも一因か
れいわ新選組からは、番組の内容は誤りと考えられるとの回答を得た。ただし、れいわ新選組のマニフェストは、時限的な「コロナ緊急対策」と長期的な「景気爆上げ大作戦」に分かれ、それぞれ「消費税ゼロ」「消費税の廃止」との記載があり、分かりづらくなっている。
根幹の部分に事実の誤りがあるとも言えるが、マニフェストには時限的な消費税ゼロの記載もあることから、『ウェークアップ』での紹介のすべてが事実と異なるというわけではない。
よって、れいわ新選組は「最大3カ月のステイホーム期間中は消費税ゼロ」とする公約を掲げている、という言説は、不正確であると判定した。
なお、れいわ新選組の公約についての新聞・通信社の記事を調べたが、消費税の公約を最大3ヵ月の時限的なものと記述しているケースは見当たらなかった。
読売テレビの反応
10月23日に、問い合わせフォームより読売テレビにこの報道の根拠について問い合わせたが、10月29日時点で回答は得られていない。回答があり次第、追記する。
脚注
(1) 読売テレビホームページ、「ウェークアップ」 https://www.ytv.co.jp/wakeup
(2) NHK、政府 衆院選の日程 今月19日公示 31日投開票に 臨時閣議で決定、2021年10月14日、
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20211014/k10013306821000.html
(3)「れいわニューディール コロナ緊急対策」
https://reiwa-shinsengumi.com/reiwa_newdeal/covid/
(4) 「れいわニューディール 景気爆上げ大作戦」
https://reiwa-shinsengumi.com/reiwa_newdeal/keiki/
*最終アクセス日はいずれも2021年10月30日
運営責任者=瀬川 至朗
調査・記事担当者=高野莉子、内海⽇和、泉美紗季、鳥尾祐太
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レーティング(判定)はFIJが策定した基準(下記参照)を用いています。